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生産者と消費者をつなぐ「やさいバス」

高知市で野菜の販売店を営む男性。生産者の高齢化が課題とされる中、農業の新たな形を生み出そうと奮闘しています。それは、「やさいバス」という取り組み。一体、どんなシステムなのでしょうか。

ツバメの雛ももうすぐ巣立ちの時。久しぶりの雨となった高知市を走る一台の車。「やさいバス」と書かれています。

「おはようございます」

にこやかな表情で降りてきたのは、堤健治さん。南国市でオクラ農家をする傍ら、日曜市や木曜市の生産者と関わりながら「野菜屋」という店舗を営んでいます。

出身は愛知県。高知大学を卒業後、大阪と高知市でのサラリーマン生活を経て、農業に挑戦しました。異業種からの転身ということもあって、様々なビジネスモデルを模索。日曜市には若手農家が集まって出店するモデルケースを作り、高知龍馬空港では「空飛ブ八百屋」を立ち上げ、観光客に「高知の野菜」の魅力を伝えてきました。野菜の生産者になって12年。立ちはだかったのが、新型コロナウイルスです。

「帰ってこなくなった常連さんが、一定数。コロナで日曜市に行くのをやめてしまったお客さん。期間が長すぎて。生産者も減った。以前ほど売れない、せっかく人が出てきても、自粛に入ったら一気に人がいなくなって、なかなか、あてにできないというのが大きいのではないか」(堤健治さん)

その間、日曜市特有の、人と人との触れ合いを何とか続けようと、「売る場所がなくなった野菜」をインターネットで販売したり、出張販売を行ったりしてきました。

「野菜屋」もその延長でオープンしました。日曜市や木曜市で野菜を仕入れ、魅力や食べ方などの情報も添えて、販売していますが、新型コロナで農業のあり方を見つめ直したからこそ、改めて感じた課題もあります。

「ズバリ言うと、後継者不足は、売り上げ不足。若い人が継げる売り上げがなく、後継者が減っている。コロナ関係なく潜在的にあった問題。これから力を入れようとしているのが、やさいバス。バス停作って、野菜を運ぶバスを作ってまわる。結局、農家の利便性をあげるために出来たらいいなと考えている。」(堤さん)

生産者と消費者を繋ぐ新たな形、やさいバスは静岡県が発祥の取り組みです。直売所や人が集まるスポットを「バス停」に見立て、生産者が野菜を持ち寄ります。バスはその野菜をピックアップし、注文した消費者や飲食店が待つ、別のバス停に届けます。生産者としては、時間や物流コストの削減につながるほか、消費者側は新鮮な野菜を、地元の顔が見える生産者から購入できるという仕組みです。

注文は、インターネットで事前に行い、決済することになっています。

「日曜市に来るお客さんはこの人から買いたい、という買われ方をするので、その延長線上、その人の野菜を買う手段が増える」(堤さん)

今月13日の日曜市。ある女性を案内する、堤さんの姿がありました。静岡でやさいバスの取り組みを始めた加藤百合子さん。高知での実現に向け、日曜市を視察に訪れました。

加藤さんに、野菜をおすすめしていると・・・

生産者たちとふれあえるという日曜市の魅力を伝えるには、時間がいくらあっても足りません。加藤さんも興味津々の様子。やさいバスの普及で全国各地を見て回ってきた加藤さんから見ても、可能性は無限大です。

生産者のために。そして、消費者のために。「やさいバス」は、高齢化が進む高知の農業の、新たな形のひとつかもしれません。