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【記者解説】とさでん交通 経営トップ交代へ 新体制の焦点

福井健人報道制作部長に聞きます。2014年の設立からおよそ7年。とさでん交通のトップが交代することとなりました。

改めて、きょうの取締役会で新社長に内定した樋口毅彦さんのプロフィールを見てみたいと思います。

高知県の職員だった樋口さんは、2009年度に、県内の公共交通の企画や利用者対策などを担当する、現在の交通運輸政策課、その前身となります、公共交通課の初代課長に就きました。その後も、公共交通を担当する部の幹部を経て2017年度に中山間振興・交通部長に就任。長きにわたって県民の足と言われる公共交通行政に携わってきました。県職員のなかでも数少ない「公共交通のプロフェッショナル」と評価されています。

キャリアで注目したいのが旧の土佐電気鉄道と高知県交通がひとつとなった2014年「とさでん交通」の誕生前から現在に至るまでの状況に精通しているという点です。そもそも高知の人口が減り続ける中、この交通インフラをどうやって維持していくべきかといういまや地方全体の公共交通が抱える課題にどう立ち向かうべきか、また二つの企業がなぜひとつの企業として生まれ変わらなくてはならなかったのかという2014年当時の統合に至った背景、さらには、自治体の補助金10億円をもとに、収支改善に向けた5か年の事業計画を打ち出し、一定の成果を挙げていたところに襲い掛かった新型コロナという大きな3つの局面。これらを正確に把握しているということから、県の幹部からは、「経験と知識を生かして、業績回復に向けた対策をきっちりと進めていくのではないか」という期待の声が上がっています。

一方で、とさでん交通の幹部にも取材をしました。「筆頭株主が県であり、公共交通の維持・発展について、自治体の助けなしには前に進むことはできない」という考えを述べた上でのコメントがこちら。「民間で培ってきた視点と行政で培ってきた視点での判断には、違いがあるため弊害が生まれることもあった」と、話していて、設立からこれまでのおよそ7年ならではの葛藤も聞こえてきました。

こうしたことを踏まえますと、新しい経営体制で大きな焦点となってくるのは、まず1点。「とさでん交通」が新型コロナの大打撃からどのようにして業績回復を図っていくのか。

もう一点は、「とさでん交通」という660人の従業員がいる企業の内部でいわば官民協働ともいえる環境で浮き上がった課題をどう克服していくのか、このふたつが今後の大きな焦点になると思います。

ところで高知の公共交通をどのように守り育てるのかということは、県全体の大きな課題です。今回の「とさでん交通」の経営トップの交代を機に私たち県民一人一人もまた、自分たちの生活を支える、高知の未来を支える公共交通をいかに維持していくべきか改めて考えなければならないのではないでしょうか。

とさでん交通の株主総会は、今月25日に開かれ、新体制が承認される見通しです。