大好きな高知の海は「どこもすごい!」再発見!! 高知県は東西に長く、太平洋(土佐湾等)に面する海岸線は700km 以上にわたります。 だからこそ東と西では、海の表情も、棲む生き物も、人々の暮らしも異なるもの。 そこで今回の海と日本プロジェクトin高知県オリジナルイベントは 「高知の海と食文化」に着目。 東部の深海、中部の干潟(浅い海)、西部の里海(近海)を 拠点にする海の達人から、子どもたちが各地域の海の特徴と食文化を学びました。 ワークショップ(座学)とフィールドワーク(実地調査)を体験し、 高知の海の“イマ”と“ミライ”考えた今回のイベントを振り返ってみましょう!
■海は、山と川が重要?!
講師は、高知大学教育学部の伊谷行教授。 山・川・海のつながりについてのスペシャリストです。 伊谷教授は、山から染み出したミネラルが植物プランクトンを発生させ、 それを食べる動物性プランクトンや水生昆虫、そして大きな生き物と、 山・川・海のつながりによって成り立つ食物連鎖が重要だと語りました。 子どもたちは、河口に近づくにつれて上がっていく塩分濃度や、 海水の中にいる小さな生き物を観察することで、 いかに自分たちの身近な場所に生命の営みがあるのかを実感しました。
■上町池澤本店の海の幸弁当!
午前中、じっくりと観察した子どもたちに配られたのは海の幸をたっぷりに使ったお弁当です! 「イトヨリは高知沖で獲れた白身魚で、刺身も焼いてもおいしい」 上町池澤本店の池澤さんが話すお魚のエピソードに子どもたちは興味津々! 豊かな高知の海だからこそ食べられるお弁当なんですね。
■シオマネキ、アナジャコ!河原や干潟の生物に密着!
さあ午後は、実際に生き物が棲む河原へ出発です! 一見、何もいないように見えますがよく地面を見るとたくさんの穴が開いています。 静かに、しゃべらず待っていると…、なんと穴から次々とシオマネキが出てきました! 手で持ち上げるだけで罰金を取られるという貴重なシオマネキは、 泥を食べたり、巣穴を掘ったりすることで、土を撹拌する役割を持っています。 「干潟って、高知にもあったがや!」 子どもたちからそんな声も聞こえました。 確かに、九州の有明海などに比べれば規模は小さいですが、 高知県の中部にはいくつかの干潟があります。 その一つ、仁淀川河口の干潟に金属製の筒「ヤビーポンプ」を差し込んで砂を吸い出すと…、 干潟の生き物アナジャコが飛び出してきました! 子どもたちは興奮気味に次々とアナジャコを捕まえていきます。 そんな子どもたちに伊谷教授が伝えたのは、 アナジャコのような生き物が干潟の砂を掘り進み、かき混ぜてくれることで 干潟の水をろ過する機能が保たれていること。 しかし、海岸の工事で干潟が減少していて、 そのろ過機能が落ちてきていることも教えてくれました。 山・川・海のつながりと、規模は小さくても、しっかりとしたろ過機能を持つ干潟のおかげで 美しい海が保たれていることを学んだ1日目でした。
■なぜ室戸は、海岸からすぐ深い海になっているの?
講師は、室戸ジオパーク推進協議会 柿崎喜宏さん。 室戸が、なぜ海のすぐ近くに山があり、 海岸からすぐに深い海になっているのか説明してくれました。 それは、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことによって 深海に堆積したものがどんどん持ち上げられ、室戸の陸地を作ったそう! ベルトコンベヤーを使った実験で、子どもたちも楽しく学びました。 そういった現象がはっきり表れる場所だからこそ険しい地形となり、 室戸周辺に深い海があるそうです。 また、その海の深い部分に流れる海流もあり、上に湧き上がる「湧昇流」のおかげで、 東部の海はミネラルたっぷり、豊かな漁場になっています。
■お弁当で知る海の変化
そんな東部の海で泳ぐキンメダイやシイラなど、お魚てんこもりのお弁当を、 サンフィッシュまんぼうさんが作ってくれました! しかし最近、海流や海水温が変化し、獲れる魚が変わってきているんだとか。 「それって、自分たちでできることはないのかな?」 子どもたちの中に疑問が浮かびました。 それを解決するためカギが、このプログラムの中で見つかるかも!
■ジオパーク&深海の不思議を探検だ!
さあ午後は、室戸岬にある「室戸ジオパーク」で、東部の海の秘密をさらに探ります! ここは、地球の地殻変動を間近に感じられるスポットです。 実はこの海岸、1600万年も前は海の底だったんです! 途方な時間の中で、地球と海が作り出した共同作業。 その結果、私たちが暮らす陸地が今あるんですね。 身近な海の魅力を深く知れたスポットでした。 続いて子どもたちがやってきたのは、海洋深層水を研究する施設「アクアファーム」。 ここには、深海からくみ上げた海洋深層水を直接触ることができます。 でも、あるのは海水だけではありません。 なんと、深海生物にも触ることができるんです! オオグソクムシなどの生物に、最初は恐る恐るだった子どもたち。 そのうち慣れてくると、夢中で触って、見て、海の神秘を感じていました。 でも、体験するうちに子どもたちはこんな疑問を抱きます。 「確かに、すごい地殻や深海の生き物だけど、なんだか遠い世界な気がする…」 その声に、施設を案内してくれた室戸市産業振興課の山川翔太さんは言いました。 「海に興味を持ち続けることが大事。小さな興味がいずれは行動につながり、 海を守ることにつながっていきます」まずは自分にできることから。 そんな大切なことを東部の海は教えてくれました。
■柏島の再生を目指す「里海」活動
高知県内でも有数なダイビングスポット、柏島。 そこで、NPO法人黒潮実感センターのセンター長を務め、 海プロでは熱源人材でも活動している神田優さんがこの日の講師です。 神田さんによると、柏島が非常に高い透明度を誇っているは、 新鮮な黒潮が最初に当たる場所なんだとか。 その環境だからこそ、1000種を超える魚が確認されているんです。 写真で見せてもらった美しい海や魚の数々に、子どもたちは目を輝かせていました。 しかし、そんな美しい柏島もいくつかの問題があります。 その1つが、アオリイカの産卵場所の確保。 かつてはあった海藻が見られなくなり、その影響でアオリイカが卵を産めなくなりました。 アオリイカがいなくなれば生態系が崩れる可能性もあります。 そこで神田さんたちは、アオリイカが産卵しやすいように加工した木を沈めて産卵場所を確保。 元通り以上に卵が産み付けられるようになりました。 こうやって、人が手を加えて環境を守っていく活動を「里海」活動というそうです。
■魚も人間にも影響が!マイクロプラスチック
しかし、もう1つの問題は、難しくて…。 神田さんが持ってきたのは、柏島の砂浜の砂。 白いバットに広げてよく見ると、小さなマイクロプラスチックが簡単に見つかります。 子どもたちが少しの時間で取り出しただけで大量のプラスチックが! 自然では分解されないプラスチックは、魚の体の中にたまり、 それを食べた私たち人間の体にも入ってきているそうです。 「え~~」と、思わず悲鳴のような声を上げる子どもたちに、 「だからこそ普段の生活で、いかにプラスチックを減らしていくかが重要だよ」と神田さん。 子どもたちは、西部の海の危機を実感ができました。
■海のおいしい文化を残したい
「どうしても子どもたちに食べてほしい!」と神田さんは、 柏島の郷土料理を持ってきてくれました。 美しい西部の海で獲れたブリで出汁を取ったうどんや押し寿司。 ずっと受け継いでいきたい伝統の一つです。 だけどもし、海の環境が変わってしまったら、 せっかくのおいしい文化も途絶えてしまうかもしれません。 それは西部に限らず、中部でも、東部でも、そして日本中、世界中どこの海でも 同じ問題を抱えているのです。
■海を守るために続けていくことは
3つの地域の海を学んだ子どもたち。 高知の海のイマとミライについて、しっかり考えてくれました。 「ゴミを出さないようにする」「海についてもっと興味を持つ」「友だちに学んだことを話す」 決して、1つ1つは特別なことじゃないかもしれませんが、 それを続けていくことで海を守る思いは確実に広がっていきます。 中部、東部、西部の様々な特徴を持つ高知だからこそ、 様々な魅力と課題を身近に感じることができました。 参加してくれた子どもたちとって今回のイベントは 高知の海のイマとミライを考えるきっかけに確かになってくれたようです。
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「高知の海を守りたい!」思いを詰めたオリジナル商品

2021年のオリジナルイベント、干潟から深海まで「高知の海のイマとミライ」はいかがだったでしょうか? 東部・中部・西部の海やそこに棲む生き物のこと、食文化、そして課題。 様々なことが学べるイベントだったのではないでしょうか。

実際に参加した子どもたちは、最後のまとめで発表したように「高知の海を守るために私たちができること」を一生懸命考えました。 高知の海の魅力や課題に関心を持ってほしい。

そんな思いが形になったのが、高知の海のグルメを詰め込んだエコバックです。 バッグに書かれた海の生き物たちは、オリジナルイベント参加者によるもので 全体のデザインの監修は、県出身の絵本作家、柴田ケイコさんに行っていただきました。 ぜひこのページを読んでいただいた皆さんも以下のアンケートに答えてください。 抽選で5名様に「まるごとこうちの海グルメセット」をプレゼントいたします!