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苦境続くエンタメ 「覚悟」の舞台

マイク1本で観客を楽しませる「スタンダップコメディー」の公演がこのほど高知市の劇場で行われました。新型コロナで窮地にたたされているエンタメ業界。舞台に関わる人たちの「覚悟」にからふるのカメラが迫りました。

高知市南金田にある劇場、「蛸蔵」。1人の男性が訪れました。

「おはようございます。よろしくお願いします。清水宏ですよろしくお願いします。」

東京を拠点に全国で活動する、コメディアンで俳優の清水宏さんです。

清水さんが各地で披露しているのは、マイク一本で観客を楽しませる話芸、「スタンダップコメディー」。欧米を中心に、世界中で人気が高いコメディーで、清水さんは2011年から、アメリカやイギリス、ロシアなどでも公演を行っています。

スタンダップコメディーを国内でも広げようとしている清水さん。高知での公演場所を探していた時に紹介されたのが、蛸蔵でした。新型コロナでエンターテインメント業界は苦境が続いています。これまで、県内の劇団を中心に多くの公演が行われてきた蛸蔵ですが、去年はほとんどがキャンセルに。持続化給付金などをやりくりし、なんとかしのいでいるのが現状です。清水さんの舞台は蛸蔵で、今年初めての公演となりました。

「1年かかって自分たちがこの状況でも劇場にお客さんを迎えて公演するやり方だったりとか、経験を積んできたので、少しでもできる可能性があるのならやっていきましょうということで今回の公演も開催した。」(蛸蔵 吉田剛治さん)

午後6時半。観客が集まり始めました。コロナ禍の劇場に活気が戻ります。

そして・・・

笑いの中に皮肉や社会風刺も盛り込むスタンダップコメディー。予定していた公演時間を大幅に超える、怒涛のトークは、観客のストレスも吹き飛ばしたようです。

「エネルギーがすごくて世の中の見方、切り口もすごいけどすごく元気になって、これからしばらくこのエネルギーでやっていけるかなと思った。」(観客)

「鬱屈しているものは出さなきゃダメ。おかしいと思ったことは我慢すべきじゃないし、そんなことしても誰も助けてくれない。ただやっぱり意見を笑いで言うっていうのがどれだけ力があるか、この笑いってどれだけ大きなことかっていうのがこれから分かってくると思う。やっぱり笑ってないと辛い。一番先に笑いがなくなる、余裕がなくなると、だからやっぱり笑いって大事、より出番だなと思う」(清水さん)

たくさんの笑い声が響き渡った、蛸蔵、今年初の公演。窮地に立たされているエンタメ業界ですが、蛸蔵を運営する吉田剛治さんは、「これからだ」と話します。

この1年相当やられ続けて『それでも俺たち生きてるな』というのがあって諦めて離れていった人は僕の知る限り高知の演劇人ではいない。叩かれたから、そこから雑草が生えてくるというか生命力の強さを発揮していく時期」(蛸蔵 吉田さん)

「今舞台に立つのはまず『戦い』毎回覚悟して立つ。ただそうやってみてわかる本当のおもしろさというか、やっぱり楽しい、すごく。悲壮なだけではなく緊張感はあるけどより楽しい。芸術や芸能が必要じゃない人はいなくて、どの生活にも芸術みたいなことは入っている、何か選ぶときに。だから『あったほうがいいよ』ということを上から言ってもらうんじゃなくて、俺たちそれぞれの力で認めさせていく。認めてもらっていくという時代が来たし、真価が発揮できる時代。」(清水さん)