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鍛え上げた「宇宙酵母」深海にリベンジなるか 結果は?

高知県の工業技術センターが開発し、かつて宇宙を旅した、宇宙酵母。いまは、深海を舞台にした挑戦が続いています。一度は酵母が「全滅」しましたが2度目の結果はいかに。「からふる」のカメラが追いました。

2005年、高知で生まれた酵母が、ロシアのロケットで10日間宇宙を旅しました。その名も、「宇宙酵母」です。この酵母を使った日本酒が「宇宙酒」として売り出され、初年度にはおよそ8万本が販売されましたが、今は年間数千本にとどまっています。

一世を風靡してから15年。「あの盛り上がりをもう一度」と県工業技術センターが挑戦することになった新たな冒険の舞台は、深海でした。海洋研究開発機構と協力し、おととしから去年にかけて、初の深海へ。1年間、深さ6000メートルで過ごした酵母は・・・

「これは・・・どうかな・・・顕微鏡で見てみます。バクテリアかも」(工業技術センター 上東治彦さん)

残念ながら、酵母は全滅。プロジェクトは一旦、失敗に終わりました。

「JAMSTECさんがもう一度チャレンジさせてくれるので、生きて帰るまで何回でも。」(工業技術センター 上東治彦さん)

次のチャレンジにむけてセンターでは、機械で繰り返し圧力をかけ、海底の厳しい環境に耐えられる酵母を増やそうと取り組んできました。

今年1月。酵母は再び深海へ。茨城県沖200キロの海底、およそ6000mです。海水温およそ1、7℃の環境で過ごすこと4か月。先週金曜日の14日、宇宙酵母がセンターに帰って来ました。

「お待たせしました。大事な大事な酵母です」

深海を旅した酵母は全部で108種類。それぞれのパックに、少しずつ特徴の違う酵母が入っています。果たして、生きているのかどうか。職員たちは、1年前の苦い記憶もよみがえりながら、確認作業へ。顕微鏡で確認しただけでは、判断出来ませんでした。実際に培養してみて、酵母が増えれば成功。増えなければ失敗ということになります。シャーレに酵母を広げ、祈りを託します。

迎えた今朝。結果を判断する時間がやってきました。

「おる!」

白い小さな円が、酵母の「コロニー」です。深海の環境を耐え抜き、生きていました!

「ここにもおった!13番。宇宙酵母。宇宙深海酒、できます」

108種類の酵母のうち、生存が確認できたのは5種類でした。「深海酵母」の誕生は、新型コロナの影響を受ける高知の日本酒業界にとって、大きなニュースです。

センターでは今後、仕込みの試験を行い、深海酵母の特性などを調べていきます。執念の技術で成し遂げた今回のプロジェクト。深海という過酷な環境を生き抜いた酵母は、どんな日本酒になり、盛り上がりを見せるのでしょうか。高知の酒文化に新たな希望が誕生しました。