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大学生がオープンさせた駄菓子店

子どもたちの居場所になるようにとの願いが込められた小さな駄菓子店が先日、高知市にオープンしました。店長は大学生。店のオープンまでを追いました。

今月5日、高知大学朝倉キャンパスのすぐ近くに小さな駄菓子店がオープンしました。

空き家を利用したこの駄菓子店、2人の大学生が作り上げました。店の広さは畳7枚分と狭く、品数も多いわけではありません。それでも店の中には子どもたちの笑顔が溢れていました。

オープンに向けた準備は今月1日に始まりました。店長を務めるのは高知大学4年生の森野純夏さんです。副店長を務める高知大学4年生檜山諒さんのほか、学校外の講演会などで知り合った友人2人とともに、4日後に迫るオープンに向け準備を進めます。

森野さんは静岡県出身。高校卒業後、高知大学地域協働学部に進学し、地域福祉や児童福祉について研究を続けています。子どもが好きだという森野さんは、学習を支援するオンラインボランティアにも取り組んでいます。その中で、ある疑問が生じたといいます。

「1日の大半をパソコンに向かって過ごしていて、『私、ここに住んでいる意味あるのかな』って」(森野純夏さん)

地域の子どもたちと関わるための場所を作りたい。森野さん達が導き出した答えは、子どもの頃よく通っていた「駄菓子店」でした。目指すのは、「子どもの居場所」です。

「『来ていい場所』って思えることが大事かなと思う。何をしなきゃ行けない場所ではなく、『そこにいていい』という空間ができれば。」(森野さん)

店を構えるには場所が必要です。知り合いに相談したところ、元々、学生の下宿寮で、高知大学のすぐそばにあるこちらの建物の1室を無償で貸してくれることになりました。さっそく準備開始。掃除をしながら、部屋のレイアウトについてアイデアを膨らませる森野さんたち。内装に取り掛かろうとしたその時、1人の女性が手伝いたいと申し出ました。

「この前を通りがかって」(齋藤さん)

「えぇー!」(森野さん)

高知大学大学院2年の齋藤香織さんです。

「お手伝い募集しているので、もし人手が必要ならいってみようかと思って」(齋藤香織さん)

子どもたちには、この駄菓子店でいろんな人と過ごす中で、「人とのつながり」を感じてほしいと話す森野さん。この場所で突然訪れた齋藤さんとの出会いも、「人とのつながり」です。

インテリアも充実してきたところで、いよいよ菓子を並べます。森野さんと檜山さんがお金を出し合って調達した駄菓子1万7000円分です。

「いいですね『駄菓子屋感』出てきましたね」(森野さん)

「おみくじ付きのやつはときめきを感じて買ってた。必死に恋愛運!恋愛運!恋人!恋人!みたいなことをやってたなと思って、商品に選んだ」(檜山諒さん)

値札を貼りつけ、この日の作業は終了です。

「8割ぐらいできたんじゃないですかね」(森野さん)

翌日。まだまだやり残したことがありました。この日も午前中から作業が進められ、友人や大学の後輩たちが応援に駆けつけました。森野さんのアイデアで押し入れに画用紙を貼り付けた落書きスペースも設けられました。この日のメインは看板作りです。子どもたちに来てもらうため、看板にはイラストを添え、親しみやすくしました。店にとって看板は顔です。

森野さんたちの思いが詰まった、「だがしやふぃーか」の完成です。フィーカは「居心地が良い場所」を意味するデンマーク語。子どもたちにとっていい居場所になってほしいとの願いが込められています。

「さらに現実味を増してきて、お客さんが来るのが楽しみすぎて夜も眠れないかもしれない」(森野さん)

今月5日。雨の中、オープンの日を迎えました。

開店直後に最初の客が訪れます。近くに住んでいるという、親子でした。さっそく手作りの「ひもくじ」を引いてもらうと・・・

くじは失敗しましたが、近くにできた駄菓子店を楽しんでいる様子でした。

「本当に来てくれるんだと思ってうれしいです。思った以上に小さいお子さんで、かわいくてしょうがない」(森野さん)

次の客は小学6年生の女の子。駄菓子を買ったあと、「お兄ちゃんが来るはず」と店で待つことに。押し入れの落書きスペースで、森野さんとお絵描き勝負です。

「鼻が無い!」(女の子)

「いい線行ってるなぁ、なんで目玉も分かるの?うまい棒毎日食べてるがやろ?」(森野さん)

「チーズ味は毎日食べてる。毎日じゃないけど、1週間に何日か食べるよ」(女の子)

このまま2時間が経ち、「夕方も来るね」といって店を出た女の子。よほど居心地がよかったのでしょうね。

その後も子どもたちや親子連れが次々と訪れた「だがしやふぃーか」。スペースは狭く品数も決して多いわけではありませんが、客はみんな笑顔です。

「もう無いですね。個人がやってるような駄菓子屋さんは。こんな場所があって、友達と買いに行ったり、来たら友達に会えるとか、あと、大学生とか若い人と触れ合えるのは子どもにもいい」(近所の客)

「子どもたちにとって居心地のよい空間」。森野さん達が目指していたものが形になった瞬間でした。

「さっき、『ここにいたいと』言ってくれていたので、こんな風になってくれるんだと思って。不思議な感じですね。自分でもそれを目指したんですけど、何がそうしてくれたのかって不思議に思います。ここらへん(心)があったかくなる気持ちです。大人が思う分かりやすい目的とか目標はなくても『あそこ行こうぜ』って言って、行きつけの場所、遊びの場所の一つになったらいいなって思います。」(森野さん)

だがしやふぃーかは、毎週火曜と金曜の午後0時半から6時まで開店しています。