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多様性認めるインクルーシブ教育

特集です。テーマは「インクルーシブ教育」です。「インクルーシブ」は「包括的な」や「包み込む」という意味です。「インクルーシブ教育」とは「障がいがある子どもとない子どもが一緒に教育を受けること」です。これからの社会で特に重要とされています。実践している高知県仁淀川町の小学校を取材しました。

高知県内で「発達障がいなど特別な教育的支援を必要とする児童生徒の在籍率」を表したグラフです。ここ10年ほどの間に急激に高くなっています。県教育委員会によりますと「特別支援教育」を受けている子どもの数は現在、3046人。10年前=2010年度と比べると1.5倍ほどになっています。

背景には何があるのか?特別支援教育を専門とする高知大学教職大学院の是永かな子教授はこう分析します。

「良い意味で言えば発達障がいというものが全国的に浸透していて気が付く教員、保育士が増えていったことと診断を受けることが増えたこと。もう1つは家庭の教育力が低下したり通常学級自体の基盤が弱くなっているので支援が必要な子どもたちを支えられない。一番嫌な言い方をしたら・・・“通常学級からの排除”が進んでいます。」(是永かな子教授)

一方で、障がいがある子どもとない子どもが一緒に教育を受けるのが「インクルーシブ教育」です。仁淀川町の池川小学校で実践されています。

インクルーシブ教育の実践が特に難しいとされる知的障がいがある子どもが一緒に学んでいます。

4年生の片岡旺君。特別支援学級に在籍していますが、ほとんどの教科を通常学級で学んでいます。この日の外国語の授業は2人1組で英語を使って買い物をするという内容でした。

積極的に参加する旺君。障がいがある・なしに関係なく、教室にいる全ての子どもたちが互いに関わり合いながら主体性を持って学んでいます。

「ここまで頑張れている子って多くないんですよ。旺さんは『みんなと頑張りたい』『みんなと繋がりたい』からすごく伸びる。『みんなの中で発言したい』から(伸びる)。学級の雰囲気自体が『いろんな子がいていい』と。『助けてあげなきゃ』っていう関係でもないしみんながその時間一生懸命向き合うことが大事ってことで評価できている。」(是永教授)

生活面においても子どもたちは“ごく自然に”多様性を認め合っています。この日は旺君が給食の盛り付けをする係です。

(授業中とか給食の準備のときに一緒になって色々なことをしていたのはどうしてですか?)

「旺君は人とはちょっと違うところがあるのでちょっとずつ教えてあげた方がいいと思ったからです。かわいくてよく人に話しかけてくれるところが好きです。」(クラスメート)

「みんなと関わり合える存在だなと思います。」(クラスメート)

(学校は楽しいですか?)

「はい、楽しいです。」(旺君)

(目標はある?)

「係活動。配達係を今しています。」(旺君)

障がいがある子どもの保護者が、特別支援学校や特別支援学級への入学を希望する背景には、「通常学級でついていけないこと」や「いじめられること」への不安があるとされています。

「(入学前は)不登校になるんじゃないかと思いました。何もかもが不安だらけ。トイレに行けるだろうかとか日常生活から問題があったので(学校生活に)慣れるだろうかという不安。友達とのコミュニケーションもとれるだろうかと(不安)。」(旺君の母親 片岡あかりさん)

(今は見ていてどうですか?)

「楽しそうに行っているなと。すごいのは1年生の時から『学校に行きたくない』と言ったことがない。」(旺君の母親 片岡あかりさん)

「あまり『この子はこういう特性があるから』とか『この子はこういう子だから』とかいう固定観念で見ずにみんなが仲良く学習できる環境ができるんじゃないかということで取り組んでいます。」(池川小学校 川添貴生校長)

県教育委員会も「障がいがある子どもとない子どもが可能な限り同じ場でともに学ぶこと」が重要として、インクルーシブ教育の実現のために取り組んでいます。特別支援教育の支援員を配置したり、エレベーターの設置など環境を整備したりしています。

「インクルーシブな社会を作るためには、教育がインクルーシブじゃなきゃいけない。つまり多様な差異ある人たちが共生する社会を作るためには学校の教室自体がインクルーシブで多様でいろんな違いがある人たちが共に学ぶ環境がないといけない。今グローバル社会っていわれていますけど、そこで求められている価値観。いろんな人がいていいよ、私とあなたは違いを前提にどういう風に共に生きていくの?っていうことが求められている社会なのでそれを通常学級の教室から始めてほしいと思っています。」(是永教授)