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熊本豪雨被害の植物標本を修復 高知・牧野植物園

令和2年7月豪雨では、熊本県の文化施設に所蔵されていた植物標本のほとんどが水没しました。いま、全国各地の研究施設で標本の修復作業が行われていて、高知市でも作業が始まりました。

茶色く濁った泥水につかっているのは、熊本県人吉市の人吉城歴史館から送られてきた植物の標本です。取り出された標本は一枚一枚、丁寧に泥が落とされます。

今年7月、九州地方を襲った豪雨では歴史館も被災し、植物標本、およそ3万点のほとんどが水没しました。博物館のネットワークを通じ、全国の博物館などにこれらの標本の修復が呼びかけられ、高知県立牧野植物園でも作業にあたることになりました。

標本は熊本県の植物学者、前原勘次郎が集めたものです。前原は大正時代、牧野富太郎博士と交流があり、手紙などでやりとりをしながら南九州の植物誌をまとめました。被災した標本の中には植物誌の貴重な証拠となるものもあります。修復作業ではスタッフが、標本一枚一枚の泥を筆でていねいに落としていきました。また標本を挟んでいた新聞にも、採集当時の情報が記されていることがあるため、破らないように慎重に汚れを落としていました。

牧野植物園が受け入れた標本は段ボール4箱分。一箱に150から200点の標本が入っているとみられ、きょうから2週間かけて、洗浄、乾燥の作業が進められます。

「袋から開けて、最初の一枚目、カビが生えていて、これはまずいぞと。やはり甚大な被害を収蔵庫がうけた、そして地域に住む人々の生活が水害によってかなりの影響を受けたと思っている。我々ができる ボランティア活動は、標本庫として植物標本を修復することだが、地域の復興に寄与できるように我々も協力していきたい。」(牧野植物園 藤川和美研究員)

作業が終われば、人吉市の歴史館に返還する予定ですが、歴史館側の受け入れ態勢はいつ整うか、まだわかりません。新型コロナの影響も受けながら進められている復旧・復興作業。文化の保全と復興もまた、一つの課題となっています。