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砂浜美術館 イスに座って海を見よう! 高知・黒潮町

高知県黒潮町の砂浜美術館で、「イス」を使ったちょっと変わったイベントが開かれました。「ものの見方を変える」を理念としている美術館は、立ち上げから30年を迎えた今だからこそ新たな模索を続けています。

砂浜に置かれた、イス。今月21日に黒潮町で開かれたイベント、「イスに座って海を見る日」です。NPO法人=砂浜美術館が初めて開催しました。参加者は受付を済ませた後、イスに座った写真を撮影。集まった写真をのちに美術館が1冊の本にまとめます。撮影のあとは、そのまま砂浜に向かい・・・

海を見ます。

今回の企画は参加者がどんなイスを持ってくるのかも楽しみの一つです。家族と一緒に訪れたこちらの女の子のイスには、名前が彫られていました。

「私が1歳の時に、母がお世話になった人からもらったイスに座って海を見るのもいいなと思いました。」(女の子)

土佐市内から訪れた女性は、行きつけの喫茶店からお気に入りのイスを借りてきました。

「そこに初めて行ったときに目に焼き付いて『すごいいいイスだな』と思ってこの企画がちょうどマッチングして相談したら『ぜひぜひ』ということで持ってまいりました皆さんに『砂浜にすごく合ってる』といわれてよかったかなと思います。」(土佐市の女性)

アウトドアにぴったりのイスを持った男性は、眺めを確認して・・・座りました。

「とにかく軽くて落ち着けてここで座るといろんなアイデアがわいてきて次にまた取り掛かろうという元気の源すごい愛着を感じています。」(男性)

海が大好きという2歳の男の子!海とイスの組み合わせに大はしゃぎです。

「きょうは(イスを)持ってきたんですけど受付にちょうど息子にぴったりのイスがあったんで借りました。珍しそうなイベントだったんで覗いてみようかなという感じで来たら・・・満喫してますね。」(親子)

一番最初にイベントに訪れた男性は、思い出のイスと共に参加しました。

「私が小学校低学年、3年生くらいのときに祖母が使っていたイスで気に入っていて、欲しくてもらったんです。もう55年くらいの付き合いで最近あんまり座っていなかったんでこの企画を美術館のホームページで見てここの海がすごく好きなので一緒にこの椅子に座って海を見せてあげたいなと、このイスにそう思ったので朝早く飛んできたこの風景は心洗われるので来てよかった。」(男性)

思い思いのイスを持ってきた参加者、中にはこんな人たちも・・・

ゆったりと、大人数で座れるソファを砂で作ってしまいました!

ソファを作ったのは、黒潮町の文化交流コミュニティに参加する外国人や技能実習生です。専門家のアドバイスのもと、2時間ほどかけて完成させた力作に座りパシャリ!子ども用の長イスに座り、ポーズを決めるのは・・・松本敏郎黒潮町長です。この日は町長をはじめ、旧大方町の職員ら砂浜美術館の立ち上げメンバーがそろい踏み。美術館が始まった30年前に思いを馳せていました。

砂浜美術館のコンセプトを考えた、デザイナーの梅原真さん。今回のイベントも梅原さんが発案しました。

遠くを見渡す力がいるというので、常々思っていたのでじゃあここに勝手に来てイスに座って海を見てください、そういう感じですかね。ちょっと時代背景がコロナ以後、そしてソーシャルディスタンスですよね。遠くに座っているわけですからその辺かな。」(グラフィックデザイナー 梅原真さん)

ちなみに梅原さんが持ってきたイスは・・・

「金沢の骨董屋で買った、こんなぼろっちいイスがあったのベニヤ板を貼り付けているだけだからこう・・・剥げてますよね。このラフさかげんというのを僕はちょうど『なんてチープな!』というチープさ加減が、『チープなのに豊か』ってなんでしょう?っていう設問がこのイスの中にある。ベニヤ板を貼り付けただけじゃんという中になにか豊かなものがあると思っています。この発想に。」(梅原真さん)

「Tシャツアート展」や「潮風のキルト展」を開催し、今や県内外で有名になった砂浜美術館。その根本には「ものの見方を変えることで新しい発想がわいてくる」という考え方があります。

「『この町には何もないんだ』と30年前にいっていた。今は何もないけどいかようにも考え方で楽しいことができるし、何もないと言っているのはちょっと違うよねというそういうサジェスチョンをベースのところではしているつもり。」(梅原真さん)

30年間受け継がれてきたこの考え方をいかに伝えていくのか。美術館の模索は続きます。

「自分たちの活動の一番の根っこの部分は、砂浜美術館の考え方をいろんな方法で伝えていくっていうことなのでその点でこのイスの企画なんかはいい機会とも思ってますし、また今後も40年、50年とやっていくにあたって新しい切り口は考えていきたい」(砂浜美術館 塩崎草太さん)

発想の転換から生まれた美術館は、そこに生きる人たちとともに新たなアートを作り続けていきます。