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「自分らしく」に込められた思い

高知県南国市出身の女性が、東京で、特徴のあるデイサービスを展開し、コロナ禍でも順調に業績を伸ばしています。そこには、彼女の「ある思い」がありました。

東京・杉並区にあるデイサービス施設「咲くよひまわり亭」です。経営しているのは、南国市出身の葛目奈々さん。2010年に「株式会社セブンスカイ」を立ち上げ、デイサービス事業などを始めました。大きな特徴は・・・

昼食を利用者とスタッフが一緒に作っています。利用者に日常に近い生活を送ってもらいたいと考えているからです。

「うちでやっていたことをやっているだけだと思います。みんなでワイワイ言いながらが楽しいです」(利用者)

(お上手ですね)
「そんなことない。長いことしてないから」
(久しぶりですか?)
「目が悪いからお料理したら危ないからって家庭ではね。久しぶりだから楽しかった」(利用者)

自宅では包丁や火を使うことに不安を感じなかなか調理ができませんが、ここではスタッフが見守っているので安心です。

「私達の大きな方針として自分らしくある環境の提供だったりとか、ご家族も、ご利用者さんも自分らしくいて欲しい」(葛目奈々さん)

繰り返される「自分らしく」という言葉。そこには葛目さんのある思いが込められているのです。

実は葛目さん、男性として生まれました。

中学生のころから違和感を覚え始め、高校生の時、男性に初恋をしたことから、心の性が女性だと気付きました。県内のバーで働いた後、東京・新宿へ。お金を貯めるために夜の世界で働き、24歳の時には性別を変更する手術を受けました。そして一念発起し看護学校に入ろうとしますが、患者を混乱させることなどを理由に何校も断られました。

「最初は衝撃だった。自分自身、履歴書も、男性女性っていう、それだけで、やりたいことがやれない社会ながやなって、非常に挫折感。自分は何のために生まれてきたのかとか、男性に生まれて女性になるっていうだけでも結構大変。手術したり注射打ったりそれだけでも大変なのにやりたいこともできないとなると自分は何のために生まれてきたのか」(葛目奈々さん)

それでも葛目さんは人をケアしたいという思いを諦めきれず、介護の道へ。資格を取り、自ら会社を起こしました。葛目さんのこうした生き方が「自分らしく」という言葉につながっていたのです。

2015年、葛目さんは取材をきっかけに自分がトランスジェンダーであることをオープンにしました。周りの反応に怖さがあったものの、返ってきたのは温かい言葉でした。

「だから葛目さんは相手のことを知ろうとしているとか、求めていることを探ろうという姿勢だったんだねとか、そこに自分らしくということだったんですね、とか、これからもがんばってほしいという声をすごくいただけたので、安心しました」(葛目奈々さん)

利用者もスタッフも含め多様性を大切にする施設。そんな職場を増やすため、葛目さんは、最近マネージメントの仕事に力を入れています。2016年度にはおよそ8500万円だった売り上げも年々増加し、昨年度はおよそ1億4500万円に。コロナの影響で一時は売り上げが落ちたものの持ち直し、今年6月には原点ともいえる新宿に施設をオープンさせたのです。2023年度までに6拠点・24店舗の開設を目指しています。

「きっかけは自分らしくいたい、ということだったんですが、次は誰もが、LGBTに限らず、どんなところでも個性が輝けるようなそんな場所を作っていきたい。そんな社会をつくっていきたいと考えています。」(葛目奈々さん)