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南海トラフ地震メカニズム解明へ 高知からも日向灘の海底調査へ

来たるべき南海トラフ地震から1人でも多くの命を守るため、地震発生のメカニズムを解明しようとする研究は日々続けられています。今週から、東京大学と海洋研究開発機構=JAMSTECが、宮崎沖の海底を舞台に調査を行うことになりました。調査船には高知コア研究所の研究員も乗り込むことになっていて目的について聞きました。

まずはこちらの海底地形をご覧ください。この溝がフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境です。フィリピン海プレートはユーラシアプレートの下に年間4センチのスピードで沈み込んでいて、その過程でユーラシアプレートもくっついたまま下に引っ張り込まれています。摩擦が限界に来た時、プレートが元に戻ろうとして反発し、大きな地震が発生します。

来たるべき南海トラフ地震、駿河湾から九州の沖合まで広がる震源域の中で、研究者たちが注目しているのが日向灘です。日向灘はスロースリップと呼ばれる、揺れを感じない低周波の地震が頻発している海域です。

「我々が経験する地震の数は大きな地震だとどんなに頻度が高くても100年に1度。たくさん調査はできません。そこで最注目しているのが小さな地震であったり、スロー地震と呼ばれる我々が感じることができないような地震を使って、大きな地震が起きるときに小さな地震が悪さをしているのか、あるいは力を開放しているのか、そういったことを調べるのが最近の研究のトレンドになっています。」(JAMSTEC高知コア研究所 濵田洋平さん)

海洋研究開発機構=JAMSTECは海底7000メートルまで掘削探査ができる「ちきゅう」や、「しんかい6500」などの有名な探査船をはじめ、多くの調査研究船を稼働させています。その中から今回、調査船「新青丸」が日向灘に向かい、数日かけて海底を調査することになっています。

調査により得られた貴重なサンプルの分析や管理・保管を担うのが、高知コア研究所です。地震の研究を続ける濵田さんも今回の調査航海に参加します。

「今回の目的は『海山が沈み込むところ、プレートの下では何が起こっているか』を解明することです。ここから南東部分が全部沈みこんでいて、ここはフラットなのに対してこちらはゴツゴツしたものが沈み込んでいます。この大きな山脈は九州パラオ海嶺と言われていて、そのまま沈みこもうとしています。よく見ると海山が沈み込もうとして開けた穴がここに見えています。今回の調査もこの穴の周辺を調べる調査です。」(濵田さん)

こちらは防災科学技術研究所がインターネット上で公開しているHi-net高感度地震観測網です。地図上の丸は、7日間で観測された地震です。30日間になるとこれだけの数になります。海底地形と合わせて見比べてみると、比較的フラットな地形の四国沖は地震が少なく、ゴツゴツした地形の部分では小さな地震が頻発しているのがわかります。スロースリップは海山と呼ばれる、海底から1000メートル以上の高さでそびえ立つ地形=まわりで多く起きていることが分かっていて、このスロースリップが大きな地震を誘発する可能性があると指摘されています。

「スロースリップがなぜ大地震を誘発することになるのか。ひずみを解放するという意味では逆に地震発生を遅らせる気がしますよね。逆なんです。このフラットな部分は沈み込み続けてこちらの部分では逆に戻るわけですから、境目でねじれが起きるんですね。このねじれでこちらのプレートも戻る方向に引っ張られます。」(濵田さん)

一旦プレートの下に潜り込めば、摩擦は小さいと推測される海山ですが、沈み込む過程では境界部分の地形を変形させるほどの大きな力がかかります。今回の調査では日向灘沖の海底を数メートル、比較的浅く掘削し、サンプルを分析する予定です。堆積するスピードや場所にもよりますが、数メートルでも数万年分の資料に匹敵するといいます。

「今回の海山をテーマにした調査も先が長くて、ここから数年がかりで継続しなければいけません。そしてこれを ひとつの点とすれば、こうした点の調査を積み重ねて結んでいけば、いつか地震の全体像を浮かび上がらせることができると思います。」(濵田さん)

海山の多い日向灘沖の海底で何が起きているのか?日向灘沖のスロースリップは南海トラフ地震の発生に影響を与えることがあるのか?今回の調査でメカニズムの解明に向けまた一歩前進することが期待されます。

調査船「新青丸」には、「からふる」の取材班も乗り込んでいます。今回の調査がどのような成果につながるのか。後日改めて、お伝えします。