東洋町出身の落語家=三遊亭歌彦さんが7月、高知市で公演会を開きます。公演会に先駆けて高知に帰って来た歌彦さんに、これまでの道のりや公演への意気込みについて聞きました。
東洋町出身の落語家=三遊亭歌彦さん。去年3月、前座から二ツ目に昇進したことを記念して、7月、高知市で公演会を行います。県出身の落語家としては3人目となる歌彦さんですが、子どものころは全く落語に触れずに育ちました。
「東洋町にいたときは小学生のころは田舎ですからのびのびと過ごしていた。皆の前に立って楽しませようという気持ちで、中学校の時は生徒会の会長をやってましたね。高校からは土佐塾高校に入学して3年間山の上の寮で生活した。そこでは2年生のとき寮のまとめ役というか、全体をまとめる役割が多かったかなという感じ」(三遊亭歌彦さん)
小学校から高校までバスケットボールに打ち込んでいた歌彦さん。落語との出会いは、大学時代、落語研究会に所属していた知り合いの公演を聞いたことでした。
「『落語っていうものがあるんだ』と知って、バスケって体力が下がると出来なくなるから、何か一生を掛けてできるような趣味をと思って関西学院大学の落研に入った」(三遊亭歌彦さん)
落語を始めた時は、プロになる気はありませんでした。落語研究会の先輩がある落語家に弟子入りしたことをきっかけに、自身も、プロの道を意識するように。大学4年生の時、三遊亭歌奴さんのもとに弟子入りしました。
「師匠が出番を終えて出てくるところを電信柱に身隠れながらに待ってタタタと行って『師匠!弟子にしてください!』と一言バンと言って。師匠も弟子と言われてびっくりですよ『刺されるんじゃねえか』と思ってたらしくて、若いやつが急にドドドときたから『おおそっか弟子入りか』ということでそのままご飯に連れて行ってもらって『落語家っていうのはこういうものだよ』と説明を受けてそこから入門まではスムーズだった」(三遊亭歌彦さん)
ちなみに、家族に報告したときの反応は・・・
「『実は落語家になろうと思ってて』って話すとうちの親が普通だったらそんな芸人なんて!っていうと思ったら『いや~やっと真っ当な道から外れた!』というような、今まで真面目真面目で生きてきたから昔から『やりたいことはやりなさい』という親だったのでそこはその一言で『やりたいことをやりなさい』と受け入れてくれたそれはすごくありがたかった」(三遊亭歌彦さん)
周りの応援も受け、落語の世界に飛び込んだ歌彦さんに聞きました。落語の「面白さ」とは?
「受け取ってもらう方法が十人十色なんですね。それぞれの人の生きてきた経験に基づいた人を頭の中で想像してもらうということなのでそれを提供できる、私もやりたいことをわかってもらいたいと思いながらやっているそれがお互いにガチっとあった時が一番やっててよかったと思う瞬間ですね」(三遊亭歌彦さん)
落語といえば話の中でさまざまな動きを表現しますが、難しくはないんですか?
「難しい話もあるんですよ。パントマイムを使ったような話があって『だくだく』という話があるが『貧乏だから家具が置けない』だから絵の先生に家具を絵で描いてもらってなった気になって過ごそうと。そこに泥棒が入ってきて泥棒がこうやるんですけど盗もうと思っても・・・絵じゃねえか!ってときにたとえば箪笥とかもこう・・・・・・あれ・・・?っていうのもやらないといけない。そこはやってて難しかった。自分で鏡を見ながら実際できているかと思いながら稽古は何回もしました」(三遊亭歌彦さん)
およそ5年間の下積みを終え、二ツ目に昇進した歌彦さん。凱旋公演となる7月の公演会には、特別な思いを寄せています。
「私としては地元に恩返しじゃないですけど、落語を知ってほしいという気持ちと、あと高知でやるときは独演会が多いと思う。師匠がたっぷり三席を語るのが多いが、今回は披露公演ということで口上という黒紋付に袴をつけて披露口上というのもやろうかと考えている。私自身も皆さんに恩返し出来るよう、楽しんでもらえるように精いっぱい努めたい」(三遊亭歌彦さん)
真打を目指してまい進する歌彦さんには、高知で生まれ育ったからこその思いがあります。
「高知で落語を知ってもらいたい、落語家っていうともう皆から地元に戻ると『はやく大喜利の番組にでてね』って言われるがそこだけが落語家じゃなくて、私が教わった話とかそれを皆さんに伝えたい。大きな会じゃなくてもいいと思っていて、今市内に出られないような人でもそこの小さい公民館ですとか、そこを回って地域にそのあたりの人に楽しんでもらえるような落語家になっていきたい」(三遊亭歌彦さん)
「普段高知の落語独演会では見られないような芸人が集まって普段見られないものがございます。ぜひご来場いただければと思います。7月10日、県民文化ホールグリーンホールでお待ちしております。三遊亭歌彦でしたありがとうございました」(三遊亭歌彦さん)